東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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階数偽装に最後通告の「赤紙」
 確認申請書で「7階建て」と記載されていたマンションが、完成してみれば「9階建て」になっていた。
 大阪府池田市の賃貸マンション「マテリアル菅原」は、同市都市建設部審査指導課から容積率の限度を超える建築基準法違反として、過去に2度の是正措置命令を受けた。命令にマンション所有者が応じないため、市は11月8日に是正措置命令を公告する「赤紙」をマンション入り口付近に掲示した。
 マテリアル菅原は完了検査を受けないまま、建築主であった男性が入居者を入れている。確認申請時の計画戸数は24戸。建物の立ち入り調査ができないため正確な部屋数は把握できていないが、20世帯ほどが暮らしているとみられる。市審査指導課の浜洲一弘課長は「入居者に違法性を知らせたことで、ようやく所有者からの反応があった」と話す。
 マンションは池田市役所から徒歩数分の位置に立つ。建物東側は別のマンションが立っており、大通りからは陰になっている。南西側の空き地に回ると図面上はあるはずのない8階と9階が見える。確認申請時に提出された立面図によると、2階から6階までは階高が2.9~3m。7階は5.58mある。浜洲課長は「7階は吹き抜け構造になっていた」と説明する。増床分はこの7階と屋上部分とみられる。
 市によると増床した階にも既に入居者が暮らしているという。

 マンションの建築主の男性と施工者であるダイカイ(兵庫県西宮市)の代表者は同一人物だ。本誌は男性に何度か取材を申し込んだが回答はなかった。建築計画概要書を見ると、容積率の上限は240%。確認申請時での計画建物の最高高さは29.3m、7階建てで、容積率239.77%だった。審査したのは民間の指定確認検査機関ジェイネット(兵庫県尼崎市)だ。2012年2月22日に同社が確認済み証を交付し、同日からダイカイが着工した。
 ジェイネットは2度の中間検査を実施。12年3月5日には基礎の配筋工事を、4月16日には2階床板の取り付け工事を確認した。中間検査では建物に違法性はなかったという。 しかし、7月27日の完了検査では図面と異なっていた。計画変更確認申請も出されておらず、ジェイネットは検査済み証を交付しなかった。
 ジェイネットは、検査済み証を交付できない旨の通知書を12年9月6日付けで送付。建築主兼施工者である男性に、建物の正確な図面や構造計算書などを提出するように求めた。しかし、資料を提出しないため、同年12月7日にも通知書を送っている。
 浜洲課長は「建築主・施工者の男性は『8、9階は図面がない』と言い張る。『図面なしで現場合わせでつくった』と言って提出を拒んでいる」と眉をひそめる。
 この男性は完了検査に合格しないまま入居者を入れたため、ジェイネットから報告を受けていた市は、13年8月28日に建築基準法に基づく是正措置命令書を送付。男性は違反建築物であることは認めたものの、そのまま所有権を兵庫県宝塚市の女性に移している。15年10月13日には所有者となった女性に対して命令書を送ったが、代理人の弁護士を通じて「是正の意思」を伝えられただけで、具体的な行動は取られていない。
 正確な図面がないため、市は現段階で容積率しか違反項目を特定できていない。つまり、地震に対して十分な強度があるかどうか、火災時の避難規定を満たしているかどうかなどは判断できない状況だ。
 適切な是正計画を立案して改修することもままならない。そこで、しびれを切らした市は、入居者に違反建築物であることを知らせるため、マンションの玄関付近に是正措置を命じた旨を示す書類を掲示した。

 市は違反建築物に設計者の関与はなかったと判断している。ダイカイは完了検査の直前となる12年7月20日に工事監理者を変更。設計者であった兵庫県内の設計事務所から、完了検査申請書を作成するために本田建築工房一級建築士事務所(兵庫県川西市)に変更した。
 ダイカイから依頼を受けた本田建築工房の本田実代表は「近畿圏でダイカイのマンション設計を3棟手掛けたことがあった。中間検査を通っているので、完了検査の手続きを引き受けてほしいと頼まれた」と話す。
 本田代表は依頼を受けてすぐに当該マンションを確認。しかし、図面と異なる違反建築物であると分かる。「見に行ったら、『何だこれは?』という建物だった。この仕事は引き受けないから、すぐに解任してくれとダイカイに話した」という。結局、本田代表は完了検査申請書を作成していないという。
 市審査指導課は引き続きマンション所有者に対して違反の是正を求める。建築基準法9条1項では、違反建築物の所有者などに対して、「違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる」と規定されている。行政指導を無視した場合は、使用禁止や除却などの行政命令を出せる。市は所有者の対応を待つ姿勢だ。
 最終手段として、悪質な違反建築物は市が是正工事を行う行政代執行を実施する。しかし、実行に向けてのハードルは高い。浜洲課長は「図面がないために柱や梁の構造が分からない。制度的に是正が可能でも、構造的に安全かどうかの判断が難しい」と頭を悩ませる。市は建築基準法違反の容疑での刑事告発も視野に入れながら、所有者に違反の是正を求める考えだ。(江村英哲)


マテリアル菅原をめぐる経緯
月日 出来事
2012年 2月22年 ジェイネットが確認済み証を交付、ダイカイが着工
3月5日 中間検査で基礎の配筋工事を確認
4月16日 中間検査で2階床板の取り付け工事を確認
7月20日 工事管理者を変更
7月27日 完了検査が不合格に
9月6日 ジェイネットが完了済み証を交付できない旨の通知を再送付
12月7日 完了済み証を交付できない旨の通知を再送付
2013年 8月28日 池田市が是正措置命令書を送付
2015年 10月13日 是正措置命令書を再送付
2016年 11月8日 池田市が是正措置を命じた旨を示す書類を掲示して住民に告知













ソース :
日経アーキテクチュア 2016_12-08
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