東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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建設中「地下室マンション」確認取り消し
 横浜市金沢区の斜面地で建設中のいわゆる「地下室マンション」をめぐり、近隣住民が「高さ制限に違反している」などとして建築確認の取り消しを求めていた訴訟の判決が、東京地方裁判所で2016年11月29日に下った。
 東京地裁は「高さ制限に関する建築基準法55条1項に違反している」と判断。原告の訴えを一部認め、指定確認検査機関の国際確認検査センター(大阪市)が行った建築確認を取り消す判決を言い渡した。  問題となったマンションは2棟、計113戸。17年3月の完成予定で、A敷地(3640㎡)とB敷地(3988㎡)にそれぞれ1棟ずつ建設中だった。いずれも用途地域は第一種低層住居専用地域で、10mの高さ制限がある斜面地だ。

 被告の国際確認検査センターは13年4月、B敷地に計画した1棟に対し、地下を含む5階建てとして建築確認を下した。これに対し原告である近隣住民は14年4月1日、「B敷地に建設を予定している建物の高さが10mを超えており、第一種低層住居専用地域における建築物の高さの制限を定める建基法55条1項に適合しない」などと主張し、東京地裁に建築確認処分の取り消しを求めて提訴した。
 横浜市内のマンションデベロッパーなどの建築主は、建物の形状や配置などを変更。15年5月20日に建築計画の変更を被告の国際確認検査センターに申請した。被告は同年6月30日および10月13日に建築計画の変更確認を下した。原告は同年12月15日、この計画変更確認の取り消しを求める訴えを追加する変更をした。

 最大の争点は、建物の高さの算定基準となる平均地盤面の算定方法の正否だった。
 建基法施行令2条1項6号は、建築物の高さは「地盤面からの高さ」であると定めている。同条2項は「地盤面」とは、「建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面」と定義。斜面地などで、その接する位置の高低差が3mを超える場合は、高低差3mごとの平均の高さにおける水平面としている。
 マンションの建築主は、B敷地東側斜面に、標高29.3mの高さで建物と地面とが接するように切り土する計画を立てていた。ただし、その中央付近の標高32.3mの位置に、切り土後に1m四方の突起状の部分を残した。突起部分の高さ自体は約3mだった。
 建築主の主張によると、開発許可の時点から計画していたという。  建て主はこの突起状の部分の上部を、平均地盤面を算定する際の基点となる、「建築物が周囲の地面と接する位置」、つまり「地面」として扱った。これによって、突起状の部分の左右にある約84mの区間が標高29.3mで周囲の地面と接しているのにもかかわらず、標高32.3mの地面があると判断。この範囲の平均地盤面は30.86mであり、建物の平均地盤面からの高さは9.93mと算定した。
 原告は、この平均地盤面の算定方法が誤っていると主張。突起状の部分は「意図的に偽装された」ものであり、正しく算定すると、B敷地の建物は高さ10mを超えるから違法であると訴えた。

 東京地裁は、以下の理由から、B敷地の建物は建基法55条1項に不適合であり、この点を看過した変更確認は違法であると結論付けた。
 判決のなかで東京地裁はまず、建基法施行令2条2項が示す「地盤面」の定義に触れ、極端に盛り上がった敷地のごく一部を基準として地盤面を算定すると、この定義からかけ離れた結果になることが容易に想像できる、との見解を示した。
 そのうえで、突起状の部分の左右にある84mの区間では標高29.3mで周囲の地面と接しているのに対して、突起状の部分はB敷地の建物の東面に1mしか接していないことに言及。突起状の部分があることから標高32.3mの地盤があるとして、平均地盤面を算定することは、建物の東面が接している地面の高さを正確に把握するとは言い難いと判断した。
 突起状の部分が、周囲の地面とは連続性や一体性を全く欠いていることにも触れ、「この突起状の部分のみをもって、B敷地建物東面の平均地盤面を代表する地盤面の高さとして取り扱うことは必ずしも合理的ではない」と結論付け、B敷地に建設中の建物の確認取り消しを求める原告の訴えを認めた。
 なお原告は、A敷地に建つ建物についても、避難通路の設置について横浜市建築基準条例6条2項に違反するとして確認取り消しを求めていたが、東京地裁はこの訴えは退けた(原告は16年12月13日に控訴)。
 被告はこの判決を不服として16年12月12日、東京高等裁判所に控訴した。被告の代理人の弁護士は、「主張は審理の中で明らかにするので、コメントできない」と話した。
 住民側代理人の呉東正彦弁護士は「斜面地でのマンション建設で、こうした脱法的な建設手法が横行している可能性がある。再発を防ぐためにも、関連条例などを改めて見直すべきだ」と話す。(高市清治)



ソース :
日経アーキテクチュア 2017_1-12
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