東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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最大3万棟で石綿対策未実施
 人体に有害とされる吹き付けアスベスト(石綿)を使用した可能性のある民間の小規模建築物は、最大8万2000棟。そのうちアスベスト対策を実施していない建物は最大3万棟に及ぶ可能性がある――。国土交通省がこうした推計を公表した〔図1〕。
 国交省は今後、さらに詳しいアスベストの使用実態を把握し、アスベストの含有調査や除去などを支援する考えを改めて打ち出す方針だ。
 この推計内容は、5月17日に開催された社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会で公表した。床面横1000㎡未満の小規模民間建築物におけるアスベストの使用状況を公表したのは初めて。

 湿式石綿含有吹き付けロックウールをメーカーが製造中止にしたり、建設会社が使用を中止したりし始めたのは1989年ごろ。国交省の着工統計などによると、89年以前に完成した小規模民間建築物は全国に約130万棟ある。アスベスト対策部会のワーキンググループが進めてきた調査・検討によると、アスベスト対策未実施の小規模民間建築物は2万3000~3万棟。全国の特定行政庁が2013年度から15年度までに受理した建築基準法12条に基づく定期報告の結果などを基に推計した。
 一方、床面積が1000㎡以上の大規模民間建築物については、各自治体が05年から実態調査を進めてきた。現時点でアスベストの使用を確認できた大規模民間建築物は全国で合計約23万8000棟。そのうち吹き付けアスベストを使用している可能性が高い建築物は約1万6000棟(約6.7%)で、飛散防止対策が未実施の建築物は約4000棟に上る。
 この自治体調査は実際の全数に対して約9割に当たる。この比率をベースに、吹き付けアスベストを使用している可能性が高い大規模建築物は約1万8000棟あり、対策未実施のものを約5000棟と推計している。
 ワーキンググループがまとめた報告書では、民間の小規模建築物について、調査対象数が膨大で一斉に実態を把握することが困難なことから、業界の自主規制が行われる1989年以前に建設された建築物を優先調査すべきだと強調した。特に不特定多数が利用する宿泊施設や物販店、飲食店などの実態把握の必要性を指摘した。
 効率的な調査のため、建築士などが吹き付け材の使用の有無を確認したうえで、調査者が詳細調査する仕組みが必要だとも指摘している。(高市清治)

〔図1〕民間建築物のアスベスト使用状況
  小規模民間建築物 大規模民間建築物
全体の推計 状況を把握している実数
調査対象 約130万棟 ※1 約26万6000棟 約23万8000棟
吹き付け材が使用されている
可能性のある建築物
約29万棟(約22%)※2
吹き付けアスベストなどが
使用されている可能性のある建築物
約6万〜8万2000棟
(約4.6〜6.3%)※2
約1万8000棟
(約6.7%)
約1万6000棟
(約6.7%)
対策を実施していない建築物 約2万3000〜3万棟 ※3 約5000棟 約4000棟
※1 湿式のアスベスト含有吹き付けロックウールが使用中止とされた1989年以前に建設されたもの。着工統計などによる推計
※2 定期報告対象の建築物におけるアスベスト対策状況の実態調査などにより推計
※3 全国の定期報告対象の建築物におけるアスベスト対策未実施の割合が約38%であることに基づく推計
民間建築物における吹き付けアスベストなどの使用状況。小規模民間建築物における吹き付けアスベストの使用状況の推計を国土交通省が公表したのは今回が初めて(資料:国土交通省)












ソース :
日経アーキテクチュア 2017_6-22
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