東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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ミューザ川崎の震災復旧巡る訴訟和解へ
 東日本大震災で天井が大規模崩落した「ミューザ川崎シンフォニーホール」の復旧工事を巡る裁判で、和解が成立する。所有者の川崎市が設計・施工一括方式(デザインビルド、DB)で発注した復旧工事について、受注者側が約5億円の追加工事費の支払いを求めて市を訴えていたものだ。川崎市議会は6月22日、横浜地方裁判所からの和解勧告を受諾。和解金5000万円を受注者に支払うことを決めた。
 裁判に至った復旧工事は、市が2011年8月に総合評価一般競争入札を実施し、竹中工務店と浅沼組、大場建設、吉忠工務所の4社JVが落札した。落札額は18億6900万円。同年10月に契約を締結した。
 入札が公告された11年6月時点、まだミューザ川崎ではガレキ撤去すら完了していなかった。
 この入札は、早期復旧を目指した市が、ガレキ撤去や被災状況調査から実施設計、工事監理、施工までを1つの事業として一括発注したという性質がある。ガレキ撤去と損傷調査を並行する、調査結果を実施設計へ即時反映させるなど、複合的な業務遂行を狙ったものだ。天井の工事では、従来以上の耐震性と安全性の向上、音響性能の復旧を求めた。
 だが、ガレキ撤去から始まった復旧作業は難航したようだ。JVは11年10月時点から予算増額を市に求めており、翌12年11月には神奈川県の建設工事紛争審査会への調停も申請した。この際にJV側が主張した追加変更工事代金は5億213万円。復旧工事は12年12月に完了したが、契約の紛争については13年5月に「解決の見込みなし」として調停が打ち切られたため、JVは同年8月に横浜地裁へ提訴した。

 市が入札時に示した要求水準書や契約書には、「設計・監理費および工事費は契約金額を限度とする」など、発注者側のリスクを限定する文言があった。市施設整備課が作成した資料によると、入札時に「天災および法改正により市がやむを得ないと判断した場合以外の増額は認めない」との補足説明もしていたという。
 一方のJVは、「前提とされた事実を超える範囲の復旧工事や、復旧工事とは何の関係もない既存建物の瑕疵を補修する工事などは、契約の対象外」と主張した。〔図1〕
 和解では、JV側の主張の一部が認められた格好だ。
 本誌の取材に対し、和解金額の妥当性について市施設整備課は次のように説明する。「勧告された和解金額は、既存のブドウ棚(天井を支持する構造部分)の耐震性向上などが入札段階で想定外の追加工事に当たるのでは、という裁判所の心証に基づいたもの。判決ではないため正式な損害額の認定までは至っていないが、和解金額は裁判所が請求を認める可能性のあった項目の合計の半額以下となっている」
 竹中工務店は取材に対し、「特にコメントはありません」(広報部)と回答した。
 なおミューザ川崎の事故では、崩落による死傷者は出なかったものの、市は設計・施工に瑕疵があったとして、都市再生機構(UR)をはじめとして設計者・施工者など8社へ合計20億5000万円の賠償を求めており、13年に横浜地裁へ提訴した。こちらの裁判は現在も係争中だ。(池谷和浩=ライター)

〔図1〕JV側が主張した追加変更工事(25項目)
追加・変更工事の内容 JV側請求額
天井工事 既存ブドウ棚へのブレース追加設置 1億800万円
既存ブドウ棚のブレース瑕疵補修 50万円
稜線金物、スピーカーボックス、ワイヤー貫通用の金物設置 2240万円
バルコニー席下・軒天部分の洗浄と再塗装 294万円
点検歩廊施工 960万円
天井下地材料の数量増加 490万円
補強パイプ、補強ブレースの数量増加 912万円
補強金物変更 6020万円
ダクトルート変更 5130万円
床工事 フローリング張り替え(下地ベニヤ、根太補修含む)面積の増加 650万円
階段部分ノンスリップ、客席部分断鼻框の取り換え範囲の増加 2030万円
フローリング張り替えに伴う通路部分幅木などの復旧作業費 653万円
フローリング下地構造の再施工 886万円
壁工事 区画壁未形成部分の補修 130万円
拡散壁の解体撤去・下地からの復旧 4180万円
仕切り壁の解体撤去・下地からの復旧 1160万円
パネル付き手すりの復旧 1530万円
仕切り壁上の手すりの復旧(仕切り壁撤去に伴う復旧) 294万円
その他工事 客席新設、客席の布の張り替え 5910万円
ホール扉交換 1370万円
ガレリア応急復旧対応工事 323万円
ホワイエ天井改修工事 297万円
図面・資料などの作成費 320万円
追加の警備費 1840万円
資材置き場のための駐車場代 734万円
合計 4億9203万円
表中で網かけにした7項目は、裁判の過程で「追加工事に当たる可能性がある」と裁判所が勧告した項目
(資料:川崎市の資料をもとに本誌が作成)


ソース :
日経アーキテクチュア 2017_7-13
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