東洋構造コンサルタント株式会社 1級建築士事務所
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エスカレーターからの転落防止で指針
 国土交通省は7月4日、「エスカレーターの転落防止対策に関するガイドライン」を公表し、特定行政庁などへ周知した。建物管理者などに対し、「建築基準法を上回る一定の措置が必要」としたうえで、特に側面からの転落対策には、設計者にも一定の責任があるとの見解を示した。同省は7月中にも、設計者などに向けた説明会を開催する。
 社会資本整備審議会の建築分科会建築物等事故・災害対策部会(部会長:深尾精一・首都大学東京名誉教授)が6月27日にまとめた答申の内容を踏まえたもの。国交省は消費者安全調査委員会(消費者事故調)の意見を受け、15年から新たな安全対策を社整審へ諮問していた。
 ガイドラインは、建築物の管理者などの責任を次のように示した。「いたずらなど予見できない行動への対策は求められていないが、個々の建築物や利用者の特性に応じたリスクなども考慮し、予見される行動については、建築基準法令で定められた対策に付加した安全対策を講じる責務を有すると考えられる」

 特にエスカレーター側面からの転落対策に当たっては、設計者にも責任があるとの見解を示し、個別の建築物ごとに「利用者特性から生じるリスク」「設置環境から生じるリスク」の2つを検討するよう求めた。
 そのうえで、建築基準法令で定める安全対策に加え、「建築計画でのハード・ソフト対策」、「物理的なハード対策」、「運用面でのソフト対策」を組み合わせて実施することが必要だと言及した。参考として、具体的な対策事例も示している〔図1〕。
 ガイドライン作成のきっかけとなったのは、09年に東京都港区の複合施設で発生した転落事故だ。吹き抜けに設置された下りエスカレーターの乗り場付近で成人男性が転落し、8m下に落ちて死亡した。
 15年6月に公表された消費者事故調の報告書では、国交省への意見として、危険性の高いエスカレーターについてガイドラインを設けるべきだと指摘。ガイドラインの効果について検証し、十分な実効性が確保されない場合には法的整備も含めたさらなる対策を検討するように求めていた。
 国交省建築指導課の担当者は、「あくまでもガイドラインであり法令ではないため、フォローアップは課題。効率的な方法を探したい」と話す。設計者、メーカー、商業施設の運営事業者などを対象にした説明会を早ければ7月から実施する。(池谷和浩=ライター)

〔図1〕転落防止策の具体的な事例
(1)建築計画の対策
  ・エスカレーターの設置位置への配慮(2階分以上のエスカレーターは設置位置を検証する)
  ・利用者の動線計画の配慮
  ・十分な滞留スペースの確保
  ・見通し距離の確保、ほか
(2)エスカレーターへの物理的な対策
  ・転落防止板(落下防止板)の設置
  ・誘導手すりの設置
  ・駆け上がり防止板の設置、ほか
(3)エスカレーターへの運用上の対策
  ・利用者へのサイン表示
  ・利用者への音声案内
  ・警備員や誘導員の配置
  ・運行速度の調節、ほか
ガイドラインでは、実務上の参考となる具体的な対策の事例を示した
(資料:国土交通省の資料をもとに本誌が作成)












ソース :
日経アーキテクチュア 2017_7-27
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