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「壁の中から石こうボード」訴訟が泥沼化
 前田建設工業が施工した日本航空学園能登空港キャンパス(石川県輪島市)の校舎や寮の壁の中から石こうボードの端材などが大量に見つかった問題が泥沼化している。
 前田建設工業が学校を運営する日本航空学園(山梨県甲斐市)を相手取り、金沢地方裁判所に提起した債務不存在確認訴訟で、日本航空学園は1月19日、廃棄物の撤去費など約50億円の損害賠償を求めて前田建設工業を反訴した。
 本誌が入手した反訴状によると、学園側は、石こうボードなどの撤去と壁の修復に約11億8100万円、工事中に使用する仮校舎の建設に約5憶7100万円を要すると主張。さらに、寮の工事中にかかる生徒・教員の宿泊費約4億4700万円や通学用バスのチャーター代約1億3500万円、遅延損害金約23憶1800万円などを合わせて計約50億円の支払いを求めている。
 日本航空学園能登空港キャンパスの梅沢慶臣学園長は、「前田建設工業側は『廃棄物の撤去作業は行うが、校舎に残置した石こうボードなどの撤去費約4395万円以外に支払い義務がない』と主張している。
しかし、撤去作業中に生じる損害も前田建設工業が支払うべきだ」と憤る。
 前田建設工業は本誌の取材に対して1月20日、「反訴状が届いていないので詳細についてはコメントできない。学園と協議して円満に解決を図りたい」と回答した。

 一連の問題の経緯は次の通りだ。2020年5月、雨漏り対策工事の最中に、キャンパス内にある大学と
高校の校舎、2棟の寮を合わせた計4棟の壁の中から、石こうボードの端材や使用済みの軍手、木くずといった廃棄物が見つかった。
 学園は20年6月、これらの施設の設計・施工・工事監理を請け負った前田建設工業に対して、廃棄物の撤去費など約50億円の支払いを求める文書を送付した。
 これに対して前田建設工業は、「工期の短縮や費用削減などを図るために、当時の学園側の責任者と合意したうえで残置した」と反論。20年7月に国土交通省が設置する中央建設工事紛争審査会に調停を申し立てた。しかし学園側は「不法行為に合意するわけがない。話し合いで解決できるとは思っていない」などとして、20年10月19日に予定されていた審査会への参加を辞退した。
 学園側が審査会への参加を辞退したことを受けて前田建設工業は20年10月、学園側の請求額の大半に支払い義務がないことを確認する債務不存在確認訴訟を金沢地裁に提起した。前田建設工業は「廃棄物処理法に抵触する可能性があると判断している」としながらも、「施工当時は遮音・断熱の効果を得るために壁内に石こうボードの端材を入れる工法が存在した。学園側の合意を得ていたため、学園側が主張する損害賠償請求については争う」などと主張している。
 撤去費を巡っては、学園に依頼されて廃棄物の一部を撤去したウトロン(東京都港区)と前田建設工業の間でも争いが起こっている。ウトロンは20年7月31日、学園の損害賠償請求権を一部譲り受けるかたちで、前田建設工業に約1億円の支払いを求めて東京地方裁判所に提訴済みだ。今回、学園が前田建設工業に請求した約50億円の中に、この約1億円は含まれていない。(坂本曜平)


ソース :
日経アーキテクチュア 2021_2-11
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