「必要に応じて住宅性能表示制度の見直しについて検討を行うべきだ」。社会資本整備審議会(社整審)
が設置した小委員会(座長:深尾精一・首都大学東京名誉教授)が、1月28日に取りまとめた省エネに関する制度見直し方針だ。政府が「カーボンニュートラル宣言(2050年までに二酸化炭素排出量実施ゼロ)」を打ち出したことを踏まえたものだ。
現在、住宅品質確保促進法に基づく住宅性能表示制度には外皮性能の誘導水準がなく、基準は現行省エネ基準に当たる「断熱等級4」にとどまる。今後、断熱等級5にあたる誘導水準が検討されるとみられる。社整審は今後、新たな会議体を設置して見直しに臨む。
小規模住宅の建築物省エネ法の説明義務が始まる。だが分譲住宅、賃貸住宅については買い主や借り手に省エネ性能を告知する制度が存在しない。国交省が設置した「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」(座長:田辺新一・早稲田大学建築学科教授)は近く、22年度から開始する光熱費表示の方針を取りまとめる予定だ。
家電製品では販売現場での省エネ性能の表示が先行しており、不動産流通においても同様にポータルサイトなどへ表示する統一ルールを定める。21年度に着手し、22年度初頭から新築分譲へ適用する。新築賃貸は22年度下半期開始を目指す。既存物件の表示ルールも検討する。
(桑原豊=本誌、池谷和浩=ライター)