例えば、構造材(柱、梁、母屋および土台)に用いる木材を熊本県産材とし、墨付けや手刻みによる加工を行い、かつ伝統的な継ぎ手・仕口を用いたものであることなど、いくつかの独自基準を定めた。地元の建築士や学識経験者へのヒアリングを踏まえ、現実的な内容に落とし込んだ。
「いずれ300㎡未満の戸建て住宅にも省エネ基準への適合義務が課せられることを見越し、4月から運用を開始して適宜見直そうと考え、当面の基準として公表した。独自基準の作成に悩む自治体の参考になればうれしい」と熊本県建築住宅局建築課の小佐田洋一主幹は話す。
説明義務制度に基づき建築士が保存しなければならない図書に、県独自の書類を追加したのも特徴だ。気候風土適応住宅は所管行政庁への届け出を必要としないので、省エネ基準の適合逃れに使われる恐れがある。「国の書類だけだと簡単すぎて歯止めが効きにくいので、気候風土への適応や環境負荷低減に関する工夫、エネルギー性能の設計値を説明する書類を用意してハードルを上げた」と小佐田主幹は語る。
(荒川尚美=日経ホームビルダー)